空気環境測定とは?ビルのオーナーが知っておきたいこと
不特定多数の人が利用する建物内に浮遊するちりの量や、一酸化炭素・炭酸ガスの含有量などを測定する空気環境測定を定期的に行うのは、ビル管理法(ビル衛生管理法)によって義務付けられています。
ビルを所有しているオーナーは、空気環境測定がどのようなものか知っておく必要があるでしょう。
今回は空気環境測定についてビルのオーナーが知っておくべきことについて解説します。
- 目次 -
空気環境測定とは
空気環境測定とは建物内の空気中の粉じんや一酸化炭素含有量などを定期的に測定するものです。
また空気環境測定では、建物内の空気中の成分について以下のような項目を測定します。
- 一酸化炭素含有率
- 二酸化炭素含有率
- 浮遊粉じん量
- ホルムアルデヒド(※空気調和設備がある場合)
- 気流
- 室温(温度)
- 相対湿度
これらの測定は、ビル管理者として選任された建築物環境衛生監理技術者(ビル管理士)が、専門資格を持つ空気環境測定実施者に依頼して実施されるものです。
空気環境測定を行うのはビルオーナーの義務
空気環境測定を行うことは、ビルのオーナーに課せられた義務です。
けっしてビル内のテナントや利用者に対する義務ではないので誤解しないようにしましょう。
万が一、空気環境測定を怠ったり、測定結果が基準を満たさない場合は行政措置や罰則(使用停止・使用制限)などの対象になるため注意が必要です。
空気環境測定が義務付けられている理由
空気環境測定が義務付けられているのはビル利用者の健康被害防止のためです。また空気環境測定が義務付けられているのは、以下のような特定建築物に限られます。
- 延べ床面積3,000平方メートル以上かつ用途が百貨店・事務所・店舗・図書館・ホテル・旅館・博物館・美術館・研修施設などの建築物
- 8,000平方メートル以上の学校
なぜ、上記の建物に限られているのかというと、建物の空調システムの違いによるものです。
大規模な建築物では、開閉可能な窓の数が少なく、空調システムも一元管理で空気を循環させているケースがほとんどです。
空調設備にトラブルがあれば、汚れた空気がビル全体に溜まり、カビの蔓延による呼吸器系疾患や一酸化炭素中毒などの健康被害につながる可能性が高くなります。
また、過度の冷暖房は体調の崩れに、気流は快適性などに深く関係があります。
こういった健康被害を引き起こすことを防ぎ、快適な空間を保つためには空気環境の厳格な点検と整備が必要であり、定期的な空気環境測定が法律で義務付けられています。
空気環境の測定方法
空気環境の測定は次のような頻度・測定時間・測定点・機材などについて決められています。
こちらも法律によって定められているので、この基準に則り実施する必要があります。
測定頻度
空気環境測定は、1年を通して2カ月以内に1回のペースで行う必要があります。
測定時刻・1日の頻度
浮遊粉じん・一酸化炭素と二酸化炭素の含有率に関しては、始業後の午前・午後に1回ずつ同じ場所で測定を行い、その平均値を基準値と照合します。
測定点の決め方
測定点は各階の居室中心部にします。
広い部屋の場合は、床面積に応じた測定点を決める必要があります。
測定点の高さは床から75〜150cmの間で、同じ高さにします。
測定機器は定期的な校正が必要
空気環境測定で使用する測定機器と機材は、建築物衛生法施工規則3条で定められていますが、最近は1台の機器でホルムアルデヒドを除く6項目の測定が可能な機器もあります。
測定機器は何度も使用していると誤差が生じることもあります。
二酸化炭素に関しては2週間に1度、校正用ガスで誤差がないか確認します。
自治体によっては、空気環境測定業者や総合管理業者の登録や校正実施に関して検査が行われています。
働きやすいオフィスのために空気環境を把握しよう
オフィスなど不特定多数の人が利用する特定建築物では、1年間を通して2ヶ月以内に1度、建物内の空気の成分測定(空気環境測定)が義務付けられています。
空気中の一酸化炭素や二酸化炭素の含有率や浮遊粉じん量などを測定し、建物内で過ごす人の健康被害を防ぐのが目的です。
この空気環境測定は、テナントの借主や利用者が行うものではなく、ビルのオーナーに義務付けされているものです。
ビルのオーナーは、この空気環境測定を怠ることや、基準値を満たさない場合は使用の制限や停止といった行政措置や罰則が課せられます。
オフィスの環境を良好に維持するためにも、日頃から空気環境には気を配る必要があるでしょう。ビル内の空調システムだけに頼らず、空気清浄機の設置や適切な清掃なども効果的です。