除菌・消毒
更新日:2022.02.14

アルコール消毒液の効果とは?除菌・消毒の効果

新型コロナウィルスの流行により、アルコール消毒液は私たちの生活になくてはならないものとなりました。建物や部屋の入口には消毒液が設置されるようになり、常時消毒液を携帯しているという人も珍しくありません。

一方で、アルコール消毒によりウィルス感染を抑制できることは知っていても、その効果や使用方法について正しく理解できていない人も多いのではないでしょうか。感染症を予防する為にも、アルコール消毒液について正しい知識を身に付けておきましょう。

アルコール消毒液の効果や特徴を解説

アルコール消毒液は感染症対策に欠かせないものです。まずはアルコール消毒液とはどのようなものなのかを解説します。

アルコール消毒液は細菌を死滅・無毒化させる

アルコール消毒液には細菌の細胞膜を壊して死滅、もしくは無毒化させる効果があります。実はアルコールの殺菌作用に関して、現在でも詳細なメカニズムは解明されていません。なお、食中毒を引き起こすノロウィルスにはアルコール消毒が効きにくいとされており、後述する塩素系漂白剤による消毒が推奨されています。

感染症を予防するにはアルコール消毒液で手指の消毒を行うことが大切です。細菌やウィルスによる感染症は、人間の目や鼻、口などの粘膜に細菌が付着することで発症します。手指は粘膜に触れやすい部位なので、定期的にアルコール消毒を行い、清潔に保ちましょう。

エタノール濃度は70%以上が望ましい

厚生労働省で推奨されているアルコール消毒液のエタノール濃度は70%~95%です。新型コロナウィルスを含む多くの細菌は、エタノール濃度60%で不活性化することが確認されています。しかし、アルコール消毒液は経年劣化や保存環境によりエタノール濃度が変化してしまうことがあるので、できれば濃度70%以上の製品を使用するようにしましょう。

手指消毒や身の周りの物の消毒に適している

アルコール消毒液は手指消毒の他、ドアノブや窓ガラス、子供の遊具など、身の回りのあらゆる物に使用することができます。肌への刺激が少なく、金属を腐食させてしまう心配もありません。アルコールによる肌荒れが気になる人は保湿剤入りの消毒液を利用するとよいでしょう。

アルコール消毒液における消毒と除菌の意味

アルコール消毒液の中には、消毒ではなく除菌という言葉を使用しているものがあります。混同して使ってしまうことが多い消毒と除菌ですが、本来はそれぞれ意味が異なるものです。

消毒は菌やウィルスを無毒化する作用を指します。有効性や安全性が厚生労働省に認められている「医薬品・医薬部外品」に指定された製品に限り、消毒の表記を用いることができます。一方の除菌は菌やウィルスの数を減少させる作用を指す言葉ですが、減少の度合いに明確な基準は設けられていません。

そのように説明すると除菌より消毒の方が優れているように感じるかもしれません。しかし実際には「医薬品・医薬部外品」以外の製品が、消毒の表記が使えない替わりに除菌という言葉を用いている側面もあります。除菌表記の製品でもエタノール濃度が70%以上あれば十分な消毒効果が期待できるでしょう。

アルコール消毒液による手指消毒の効果を高める3つのポイント

アルコール消毒液による手指消毒は、適量を手に吹きかけ、両手で擦って指先から手首まで満遍なく刷り込むのが基本的なやり方です。ここでは消毒効果をさらに上げる3つのポイントを紹介します。

1. 石鹸と流水で手洗いしてからアルコール消毒する

予め石鹸と流水で手洗いした後にアルコール消毒することは「衛生的手洗い」と呼ばれ、医療や福祉の現場でも用いられる消毒方法です。石鹸による手洗いだけでは落としきれない細菌も除去することができ、高い感染予防効果が期待できます。衛生的手洗いをする際は水洗い後にしっかり水分を拭きとり、アルコールが薄まらないようにしましょう。

2. 消毒液は1回につき2ml以上使用する

1回の手指消毒で使う消毒液は2ml以上が目安とされます。ポンプ式容器の場合はワンプッシュ押し切った時に噴射される量が適量です。指先から手首まで15秒以上しっかり擦り込めないようであれば、追加でプッシュしてください。

3. 爪の隙間までしっかり消毒する

手指消毒で忘れがちなのが爪の隙間です。意識的にやらないと消毒液が擦り込まれず、いつまでも細菌が残ってしまいます。指先と爪の隙間にしっかりと消毒液を付け、反対側の手の平で指先を擦るようにして消毒しましょう。

アルコール消毒液の使用で気を付けるべき6つの注意点

アルコール消毒液は発火性、揮発性が強く、使用方法を間違えると危険な目に合うこともあります。アルコール消毒液を使用する上で覚えておきたい6つの注意点を解説します。

1 火気の近くで使用しない

高濃度のエタノールを含むアルコール消毒液は非常に引火しやすい性質があります。コンロやストーブなど、火気の近くでは絶対に使用しないでください。また、手指消毒した直後は喫煙など火を使用する行為も避けましょう。

2. 空間噴霧をしない

火器から離れた場所で使用したとしても、空中に噴霧すると火元まで飛散してしまう恐れがあります。手指消毒の場合は手に近い位置で吹き付け、家具などを消毒する場合は一度布に吹き付けて染み込ませてからから拭き取るようにしましょう。

3. ニスやワックスを溶かしてしまう恐れがある

何にでも使えるイメージのあるアルコール消毒液ですが、ニスやワックスなどが塗られた製品に使用するとコーティングが溶け、変色してしまう恐れがあります。木製の家具やフローリング、革製のバッグなどに使用する際は注意が必要です。心配であれば変色しても目立たない箇所で試してから使用するようにしましょう。

4. 使用期限の切れたアルコール消毒液は使用しない

アルコール消毒液には使用期限があり、それを過ぎた製品は使用しないようにしましょう。時間の経過によってアルコールが分解され濃度が下がってしまうほか、細菌の繁殖により悪臭や皮膚への刺激が発生することもあります。

使用期限が設定されてない製品であっても、未開封で保存できるのは3年程度です。古いアルコール消毒液は破棄し、誤って使用してしまった場合は速やかに洗い流しましょう。

5. 他の容器に移し替える場合はアルコールに対応した容器を使う

アルコール消毒液を他の容器に移し替える場合は、必ずアルコールに対応した容器を使用してください。アルコールは揮発性が高いので、普通の容器では徐々にアルコールが抜けて、消毒効果が低下してしまいます。他にもアルコールの作用によって容器の成分が溶け出してしまうことも考えられるので、事前にアルコールの使用に対応した容器か確認するようにしましょう。

6. 途中で補充せずに最後まで使い切る

使用中の容器にアルコール消毒液を補充することは控えましょう。容器のふたを開けた際にアルコールが揮発してしまったり、容器内に雑菌が入ってしまったりというトラブルの原因となります。同じ容器を繰り返し使用する場合は、消毒液を補充する前に容器を洗浄して消毒してください。その後容器が完全に乾いてから補充するようにしましょう。

ノロウィルスにはアルコール消毒液ではなく塩素系漂白剤を使う

アルコール消毒が効きにくいノロウィルスの消毒には、希釈した家庭用の塩素系漂白剤が効果的です。ただし人体にとっては有毒な為、手指消毒には決して使用しないでください。塩素系漂白剤を使用する際は台所用のゴム手袋を装着するようにしましょう。

家庭用の塩素系漂白剤を消毒液として利用する場合、漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.05%程度になるよう薄めて使用します。希釈方法は製品により異なるので、必ずメーカーの公式情報を参考にしてください

アルコール消毒液を正しく使って効果的に感染対策をしよう

アルコール消毒液は手指だけではなく、身の回りの多くの物に使用できる汎用性の高い消毒液です。広く使われる一方で、使い方を間違えると消毒効果の低下や、火事などのトラブルが起こる恐れもあります。効果が高いからこそ、アルコール消毒液の正しい使用方法を身に付け、感染症対策を徹底させましょう。

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