定期清掃の必要性と内容とは? 大掃除は法律で義務化されているのか
オフィスやビルの管理をしている方なら「定期清掃」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ただ、その具体的な必要性や清掃内容については、あまり詳しく説明されることがありません。
本記事では、オフィスやビルの大掃除に関わる法律から定期清掃の必要性、具体的な清掃内容、そして費用の相場までを分かりやすく紹介します。
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オフィスビルの大掃除は法律で義務付けされている
オフィスビルは、日常的な掃除とは別に大掃除を行うことが法律で義務付けられています。労働安全衛生規則の第六百十九条には、事業者には次の措置を講じる必要がある旨が記載されています。
“一 日常行う清掃のほか、大掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うこと。
二 ねずみ、昆虫等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ、昆虫等による被害の状況について、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ、昆虫等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。”
※出典:e-Gov法令検索.「労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)」.第六百十九条.https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032#Mp-Pa_3-Ch_1-At_590-Pr_2-It_6 ,(参照2024-11-29).
労働安全衛生法の目的は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を作ることです(※)。職場の掃除が行われず不衛生であったり、整理整頓されず物が散乱していたりすると、従業員の病気やけがにつながる恐れがあるため、定期的な清掃を行う必要があります。
また、大掃除の際は、ねずみや昆虫などの発生状況を確認の上、駆除や対策を行うことも必要です。日常の掃除では行わないような、カーペット全体の掃除やエアコンの清掃などを行うこともあるでしょう。
きちんと維持管理ができていないと、都道府県知事から改善命令などを出されたり、緊急性を要する場合は関係設備等の使用停止や使用制限が課されたりする可能性もあります(※)。
※参考:厚生労働省.「2 労働安全衛生法について」.“(2)労働安全衛生法”.https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei14/dl/100119-1b.pdf ,(参照2024‐11-29).
※参考:厚生労働省.「建築物環境衛生管理基準について」.1 建築物環境衛生管理基準とは.https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei10/ ,(参照2024‐11-29).
定期清掃の必要性
定期清掃とは、2〜3カ月に1回の頻度で行う清掃作業のことです。日常清掃では落としきれない頑固な汚れや、危険が伴う場所の汚れを落とすために行います。
定期清掃が必要な理由は、法律で大掃除が義務化されていることもありますが、それ以上に清潔な環境を維持することが、利用者の快適性や建物の資産価値の向上につながるからです。
定期清掃では、ビルの窓ガラスやカーペットの清掃など、日常的な掃除と比べてより専門的で大掛かりな清掃を行います。専門的な器具や知識が必要となる作業も多いため、専門業者に依頼することが一般的です。
定期清掃の内容
定期清掃で行われる一般的な清掃メニューは次の通りです。
● カーペットフロア・ハードフロア清掃
● 高所清掃
● ブラインド・照明器具清掃
● エアコン清掃
それぞれの内容を解説します。
カーペットフロア・ハードフロア清掃
清掃業者にカーペットフロア・ハードフロア清掃を依頼する場合、床材や汚れの状況に合わせて適切な方法で清掃できる点がメリットです。
掃除機や粘着式クリーナーを用いた日常的な掃除では、カーペットの奥に入り込んだホコリや砂、髪の毛などの汚れやシミまでは落としきれません。しかし、清掃業者によるカーペットフロア清掃では、前処理剤の散布で汚れを浮かした後、機械によるポリッシャー洗浄を行うことが可能です。床下に電気配線があり、多量の水を使用した掃除ができない場合などは、特殊なパッドに汚れを吸着させるセミドライクリーニング洗浄も選択できます。
また、床の素材がタイルやセラミックタイルなどのハードフロアの場合は、機械洗浄・ワックス塗布・古いワックス汚れを溶解分離する乖離洗浄などを行うことが一般的です。
高所清掃
高所清掃は、ビルやマンションの窓ガラスや外壁を掃除することです。
建物の窓ガラスや外壁には、ホコリや雨だれ、鳥獣のフンなどの汚れが付着します。これらの汚れを放置すると、どんどん汚れが取りにくくなってしまいます。ビルやマンションが汚れていると、建物としての価値が下がる恐れがあるため、建物の美観や価値を保つ上で高所清掃は重要です。
清掃業者に高所清掃を依頼すると、ロープやゴンドラを使用しながら、汚れや材質に応じた方法で清掃してもらえるでしょう。
ブラインド・照明器具清掃
サイズの大きなブラインドや高い位置にある照明器具は、日常清掃では対応しにくい場所です。そのためハウスダストが蓄積しやすく、アレルギーの原因となることがあります。さらに、ハウスダストは水分や油分を吸着し、頑固なシミになることもあるため、定期的に取り除くことが大切です。
また、照明器具の汚れは照度の低下を招きますが、定期的な清掃により適切な明るさを保てるため、節電につながるというメリットもあります。
清掃業者にブラインドや照明器具の清掃を依頼する場合、除塵・拭き上げ・高圧洗浄・超音波洗浄・管球の取り替えなどを行ってもらえます。
エアコン清掃
定期清掃では、エアコンのフィルター掃除や本体の拭き掃除に加えて、エアコン本体を分解し、カビやダニが繁殖しやすい内部の洗浄も行います。
エアコン内部の汚れやカビ、雑菌を除去できると以下のような効果に期待できます。
● 不快な臭いが軽減する
● エアコンの効きが良くなる
● 汚れによる故障やトラブルを回避できる
● 電気代の節約になる
定期清掃の相場
定期清掃は、オフィスの床面積や清掃箇所、清掃業者によって費用が変わります。一般的な定期清掃の相場は次の通りです。
業務用エアコンのクリーニング | 1台につき3万~5万円程度 |
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ガラス清掃(100㎡) | 1万5,000~2万5,000円程度 |
カーペットクリーニング(200㎡) | 2万5,000~3万5,000円程度 |
早朝や深夜の清掃を希望したり、オプションメニューを追加したりすると、割増料金がかかる場合があります。
定期清掃は自社で行う? 清掃専門業者へ依頼する?
定期清掃を自社で行うか、清掃専門業者に依頼するかで迷っている方もいるでしょう。
定期清掃を自社で行えば、清掃専門業者に依頼するよりもコストは抑えられますが、業務時間を掃除に充てることになるため、コア業務が圧迫され生産性が落ちる可能性があります。
また定期清掃は、日常清掃では落とせない頑固な汚れや、危険が伴う場所の汚れを落とす作業です。専用の道具や掃除の知識がなければ、時間をかけても落とせない汚れがあったり、落下物や転落によるけがを負ったりする恐れもあるでしょう。
一方、清掃専門業者に依頼すると、専用の清掃道具や薬品を使用するため、高品質かつスピーディーな作業が期待できます。また、深夜や早朝、土日祝日など自社の業務時間外に作業をしてもらうことも可能です。
安全性や確実性、効率性などを考慮すると、定期清掃は清掃専門業者へ委託することがおすすめです。
定期清掃の業者選定時のポイント
定期清掃は清掃業者によってサービス内容や質、費用が異なるため、依頼する業者選びが重要です。長期的に取引する相手となるため、より良い業者を選定するためのポイントを知っておきましょう。
①見積内容は適切か
まずは、適切な見積内容になっているかを確認しましょう。
一般的に定期清掃を行う清掃業者は、下見を行った上で具体的な作業内容を記載した見積もりを提示します。下見を行わなかったり、おおよその金額で提示したりする業者は、実際に清掃を依頼した際に見積もりと費用が異なる可能性があります。また、不明瞭な見積もりを提示する業者は、清掃作業の精度も信頼できません。
見積もりを取る際は、追加作業や特殊作業が必要となる可能性がある箇所や、それらの作業にかかる費用も確認しておきましょう。
②柔軟な提案を行ってくれるか
定期清掃を行う清掃業者を選ぶ際は、サービス内容の柔軟性についても考慮することが大切です。
清掃業者の中には、決まったメニューでしか依頼できないところもあれば、依頼者の要望に対して柔軟に対応してくれるところもあります。状況に応じた清掃頻度や清掃方法を提案してくれる業者であれば、コストを抑えながら効率よく掃除をしてもらえるでしょう。
また定期清掃では、従業員から勤務時間外に作業をしてほしいという要望が生じることもあります。土日や早朝、夜間などの作業も可能な清掃業者を選べば、従業員のストレスも軽減できるでしょう。
③清掃の有資格者の在籍や実績があるか
信頼できる清掃業者を選ぶためには、実績や有資格者の有無を確認することも重要です。清掃業に関する国家資格には、ビルクリーニング技能士・建築物環境衛生監理技術者・清掃作業監督者・ハウスクリーニング技能士などがあります。資格を持っているということは、建物の清掃技術や実践的な知識、技術がある証でもあります。
また、豊富な実績がある業者は、経験からイレギュラーな状況やトラブルに対応できる可能性も高く、高品質な仕上がりが期待できるでしょう。
④フォロー体制が整っているか
オフィスビルの定期清掃では、高所作業や高度な技術が必要な箇所の掃除を行うこともあります。場合によっては、プロの業者でも誤ってオフィスの物を壊してしまったり、清掃道具を落として床に傷を付けたりするミスが起こる可能性があるでしょう。
また、清掃後の拭き取りが不十分な場合などは、清掃箇所を通った従業員が転倒してけがをすることも考えられます。
こういった場合でも、清掃業者が損害賠責任保険に加入していれば、補償が受けられます。定期清掃の契約をする際は、契約書に損害賠償に関する記載があるかどうかを確認しましょう。
オフィスビルの大掃除は清掃業者に依頼するのがおすすめ
オフィスビルの大掃除は法律で義務化されています。オフィスで気持ちよく、安全に過ごすためにも、日常清掃に加えて定期清掃を行いましょう。
定期清掃は専門的な道具や専門技術が必要な作業を伴うため、清掃業者に依頼することをおすすめします。清掃業者によって費用は異なりますが、金額だけで清掃業者を選ぶのは危険です。清掃業者選びの際には、見積内容の妥当性や柔軟な対応の可否、実績、フォロー体制などを確認してください。清掃にかかる費用は未来への投資と考え、希望に合うサービスが受けられる清掃業者を探しましょう。
清掃会社のアーネストでは、これまで大手企業や有名店をはじめ、数多くの企業に清掃・ビル管理サービスをご利用いただいています。高品質のサービスをお届けできる体制をしっかり整備しており、これまでの導入企業は累計1,000社を超えました。
ご希望の日程や時間帯に合わせて作業を行うのはもちろん、メニューにない清掃やビル管理サービスにも柔軟に対応します。本記事で、少しでも定期清掃にご興味を持たれた方は、ぜひ一度アーネストにお問い合わせください。