受水槽清掃はなぜ必要?頻度や費用相場、業者依頼の流れを解説
水道水を貯めておく施設として、主に大規模な建物に導入されている受水槽は定期的な清掃が必要で、法律でも定められています。清掃を怠ってしまうと罰金を科せられるだけでなく、水質悪化による健康被害が発生することもあるのです。
本記事では受水槽の清掃の費用相場や手順、業者を選ぶポイントについて解説します。受水槽の管理にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
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受水槽とは?
受水槽とは、水道局から水道管経由で送られてきた水を貯めておく施設の一種です。ビルやマンション、学校のような、日常的に大量の水を使用する建物や3階以上の建物に設置されています。
受水槽は配水管の水圧が変動した際に給水圧、給水量を一定に保持する役割を果たしています。一度に大量の水が使えるのはもちろんのこと、災害等で断水したときにも水の確保が可能です。
受水槽の管理は、設置されている建物の管理者が行います。管理が不十分な場合、菌の繁殖による食中毒発生などの問題が起こり得ることから、年に1回以上の清掃を行うよう法律で定められています。清掃については、貯水槽清掃作業監督者の資格を保有する専門業者に依頼するのが確実です。
受水槽と貯水槽の違い
受水槽と貯水槽はどちらも水を貯めておく施設ですが、細かな違いがあります。貯水槽は水を貯めるための設備全般を指す言葉です。一方で受水槽は、貯水槽の一種で「水道水」を貯めておくための設備を指しています。大規模な建物に設置されることが多く、その場合貯水容量は一般的に10トンを超えます。
受水槽の清掃とは?なぜ必要?
受水槽の清掃は、高圧洗浄機をセットしてホースを繋ぎ、タンク内の水を外部へ排水するところから始まります。そのあとタンク内に洗剤を撒き、隅々までブラッシングを行ったうえで消毒・給水をして完了です。
受水槽は定期的に清掃することが法律で定められており、怠った場合は罰金が科せられる場合があります。それだけでなく、タンクの中に細菌が発生して食中毒の原因となったり、錆びにより赤水が出たりと水質悪化の問題も発生します。
受水槽の清掃頻度・目安
受水槽は最低でも年に1回のペースで清掃することが、水道法54条により定められています。違反した場合には、100万円以下の罰金が科せられる場合もあり、十分注意が必要です。
年に1回行っていれば水質を保つことは可能ですが、多くの人が利用する施設であればあるほど水質管理の重要性は高まります。大規模な建物の場合、可能であれば年に2~3回清掃することをおすすめします。
受水槽清掃の費用相場
受水槽清掃を業者に依頼する場合の費用相場は、以下の表のようになります。表内の料金は清掃単体の料金を示しています。
容量 | 料金の相場 |
---|---|
~5トン | 20,000~40,000円 |
5トン~10トン | 30,000~50,000円 |
10トン~15トン | 40,000~60,000円 |
15トン~20トン | 50,000~70,000円 |
清掃に加えて水質検査を行ってもらうのが一般的ですが、水質検査の相場は3,000~10,000円程度となっています。
受水槽の業者依頼の流れ
受水槽清掃を業者に依頼する場合、以下のような流れになります。
1.業者選定
まずはどのような業者があるか調査の上、選定を行います。厚生労働省が定めた基準を満たした、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
2.建物利用者に向けた清掃・断水の告知
業者選定が完了し、清掃の日時が決まった際には建物の利用者に清掃・断水告知します。清掃日の2~3週間前までに行うのが理想です。
3.清掃当日の立ち会い
清掃当日は、清掃中に立ち会っている必要はありませんが、清掃後の確認作業などでは立ち会いを求められるケースがあります。
4.報告書の確認・保管
清掃が終わって後日、業者から報告者が送られてきます。必ず内容を確認し、最低でも5年間は保管しましょう。
業者選定・依頼
まずは業者を選ぶことから始まります。業者選びの基準として、「建築物飲料水貯水槽清掃業」の登録を受けているかというポイントがあります。厚生労働省が定めた基準を満たしていないと登録されないことから、信頼できる業者であることの証明といえるのです。
その他にも、以下のようなポイントは業者を選ぶ上で重要です。
- かかる費用がわかりやすく示されているか
清掃費用がウェブサイトにわかりやすく記載されていたり、依頼前の段階で見積もりを行ってもらえたりする業者を選ぶことが望ましいです。このような条件を満たしていない業者の場合、追加請求されるケースがあります。
- 実績が多いかどうか
清掃実績が多い業者ほど信頼できます。まずウェブサイトに実績が記載されているか確認し、記載がない場合は電話やメールで問い合わせてみましょう。
- 口コミの評価が高いかどうか
インターネットの口コミが高評価だったり、同業者であるビルや建物の管理者の評価が高かったりする場合は信頼できる可能性も高いです。
- 詳しい説明をしてもらえるかどうか
清掃の内容はもちろんのこと、不明な点を尋ねた際、詳しく丁寧に答えてくれる業者は信頼関係を築きやすいです。
建物利用者に向けた清掃・断水の告知
清掃の日時が決まり次第、建物の利用者に告知をする必要があります。一般的には、以下の方法で告知を行います。
- 入居者やテナントにビラをポスティングして告知
- マンションなど集合住宅の場合は掲示板に告知を貼っておく
告知は清掃日の2~3週間ほど前に行うのが基本です。どんなに遅くとも10日前には済ませましょう。清掃業者によっては告知まで代行してもらえる場合があるため、手間をかけたくない場合は告知もあわせて依頼するのが良いでしょう。
清掃当日の立ち合い
清掃当日は、清掃中に関しては立ち会う必要はありません。しかし清掃終了後、水質検査が行われる際は立ち会いを求められる場合があります。いずれにせよ、きちんと清掃や検査を行ってもらえたかどうか自身の目で確かめるためにも、清掃後については可能な限り立ち会うことが重要です。
報告書の確認・保管
清掃が終わった後に行われる水質検査の結果が出ると、担当業者から報告書が送付されます。内容に一通り目を通し、検査結果に異常が見られなかったか確認することが重要です。不具合があった場合、建物の管理者が対応する責任を負います。
報告書や清掃記録について、最低5年間は保管しましょう。
受水槽は年1回以上清掃しよう
受水槽はその建物の管理者が管理しなければならず、最低でも年1回清掃することが法律で定められています。放置しておくと罰金をはじめとする罰則を受ける可能性があり、また衛生環境の悪化から食中毒などの問題が発生する場合があります。
費用や口コミの評価、実績などを参考に信頼できる業者を選び、事前に告知をしっかり行った上で受水槽の清掃を行うことをおすすめします。水質管理は建物の管理のうえで重要な課題ですので、清掃は必ず定期的に行いましょう。