職域接種の準備について!企業が用意すべきことは何?
新型コロナウイルスに対するワクチン接種は、自治体が行っているワクチン接種を受ける、自身で医療機関を選択してワクチン接種を受けるという方法のほかにも、職域接種を受けるという方法もあります。
職域接種では非常に多くの人がワクチン接種を受けるため、実施する企業としてはスムーズに接種できるように不備がなく運営を行わなければなりません。
職域接種の運営準備は普段の業務内容とはかけ離れたものであるケースが大半です。
そのため、どのような準備が必要か、どのような点に注意すればよいのかなど分からないことだらけだと思います。
この記事では、職域接種を行うためにはどのような準備が必要か、職域接種当日の流れ、職域接種を行う際の注意点などについて説明します。
職域接種の運営に携わる予定のある方はぜひ参考にしてください。
- 目次 -
職域接種とは職域単位で行われるワクチンの接種
職域接種とは、企業や大学などにおいて職域(職業に従事している場所)単位でワクチンの接種を行うことを指します。
職域接種には厚生労働省に必ず申請を行う必要があり、2021年の6月より申請が開始しています。
この職域接種は、ワクチン接種に関する地域の負担軽減や、ワクチン接種技術の加速化などを主な目的としています。
職域接種を行う際には申請はもちろんのこと、企業側が準備すべきことが多くあります。
次の項目では職域接種における必要なものなどを紹介します。
職域接種のために必要なもの・こと
職域接種を行う際には、企業がするべき準備があります。
職域接種を行うためには主に以下のようなことが必要になります
- 職域接種を行うための会場や備品
- 医師や看護師といった医療スタッフ
- 職域接種の運営に必要な人員
- スケジュールなどの管理
ここではそれぞれの内容について、詳しく説明します。
1. 職域接種を行うための会場や備品
職域接種のパターンとしては、「企業内の診療所が職域接種を実施する」「外部機関が出張して職域接種を実施する」「接種を受ける人が外部機関に出向いて実施する」という3つのパターンがあります。
いずれの方法で行う場合であっても、職域接種を行うための会場や備品などに関しては、企業側が事前に用意しなければなりません。
なお、企業の会議室などの診療所ではない場所を職域接種の会場として使用する場合には、接種会場を新たな医療機関として開設(医療法に基づく巡回健診の届出)をする必要があります。
2. 医師や看護師といった医療スタッフ
ワクチンの接種は医療行為なので、医療スタッフを確保しなければ職域接種を行うことはできません。
原則として診察は医師、接種は看護師が行う必要があるため、医師と看護師の双方を必要な人数だけ確保しましょう。
なお、職域接種を行うための人員の確保は、市町村における予防接種体制に影響を与えないものでなければならないとされており、十分な注意が必要です。
3. 職域接種の運営に必要な人員
医師や看護師といった医療スタッフだけではなく、職域接種の運営を行う人員も確保しなければなりません。
職域接種には、受付や案内係、誘導、消毒の対応などのための人員などが最低限必要ですし、職域接種を受ける会場や人数によっては、動線確保のための人員などが必要になる場合もあります。
どれくらいの人数が職域接種を受ける予定かによって必要な人数が変わってきますが、確実に人員を確保するためにも早めに人数を確定しておきましょう。
4. スケジュールなどの管理
規模の大きな企業の場合、非常に多くの人数が職域接種を受けることになります。場合によっては周辺に住んでいる住民が職域接種を受けることもあるでしょう。
そのように非常にたくさんの人数が一定の期間でワクチン接種を受けるためには、スケジュール管理が非常に重要になります。
日程を予約するためのポータルサイトを開設するなどして、接種スケジュールで混乱が生じないようにすることを心がけましょう。
職域接種当日の流れ
職域接種当日の流れとしては、まずは職域接種を受ける人が会場に行って受付で検温を行い、身分証明書の確認や予診票に記載されている内容の案内を受けます。
予診票に記載されている項目に抜け漏れや不備がないことをチェックして、ワクチ接種が2回目の場合は、接種間隔や1回目に接種したワクチン種別も併せて確認します。
その後、体調や持病の確認といったワクチン接種前に必要な予診を受け、予防接種を受けることが適当かどうか予防接種の判断を行うに際して注意を要する者に該当するか否かを確認してもらいます。
問題がなければ、看護師の方にワクチン接種を行ってもらい、ワクチン接種後に接種済証を交付してもらいます。
接種済証には、接種したワクチンのワクチンシールを貼り付けてもらい、接種日・接種場所を記載してもらいます。
ワクチン接種後、人によってはアナフィラキシーや血管迷走神経反射といった症状が出るため、15分程度、過去に失神等を経験したことがある場合には30分程度、様子を観察する必要があります。
一定時間が経過しても問題が見られないようであれば会場を後にし、職域接種は完了となります。
職域接種を行う際の注意点
職域接種を行う際の主な注意点としては、以下のようなことが挙げられます。
- 2回目のワクチン接種の段取りも付けておくのが望ましい
- アナフィラキシーに対応できるようにしておく
- ワクチン接種後に発熱した場合には適切な対応を取る
- 副反応に備えて接種日を調整する
- ワクチン接種を強制しない
それぞれの注意点について、説明します。
1. 2回目のワクチン接種の段取りも付けておくのが望ましい
職域接種で行うワクチンが2回目の場合は、3回目のワクチン接種を希望する場合を除いてそれ以降ワクチン接種を行う必要は、基本的にありません。
ただし、職域接種で受けるワクチンが1回目の接種の場合は、2回目のワクチン接種もどこかで受ける必要があります。
2回目も職域接種でワクチンを受けられるのか、それとも別のところでワクチン接種を受ける必要があるのかによって対応は異なりますが、いずれにせよ2回目のワクチン接種の段取りも付けておくのが望ましいでしょう。
2. アナフィラキシーに対応できるようにしておく
ワクチン接種後のアナフィラキシーへの対応は、必要不可欠です。
ワクチン接種数全体から見ると、アナフィラキシーを起こす可能性は決して高くはありませんが、ゼロではない以上、職域接種の会場で対処できる態勢を整えておかなければなりません。
接種会場に救急医薬品を準備しておくことや、緊急搬送にそなえて外部医療機関との連携ができる体制を構築しておくことなどが、具体的な対策として考えられます。
3. ワクチン接種後に発熱した場合には適切な対応を取る
ワクチン接種後に従業員が発熱した場合には、適切な対応を取る必要があります。
症状の程度によって取るべき対応は異なりますが、咳、息切れ、鼻水、咽頭痛や味覚・嗅覚の消失などがある場合には、出勤を控えるように指示するのが賢明です。
発熱のみの場合や発熱に倦怠感、頭痛、悪寒や筋肉痛などを伴う場合も、出勤を控えるように指示するのがよいでしょう。
発熱はなく倦怠感、頭痛、悪寒や筋肉痛などだけの場合は、新型コロナウイルスの感染者との濃厚接触が確認されていないことを条件に、そのまま出勤させるという判断が妥当です。
上述したのはひとつの判断基準であって、各企業によって出勤を控えるべきかどうかの基準は異なると思いますので、それぞれの企業の基準に照らし合わせて適切な対応を取りましょう。
4. 副反応に備えて接種日を調整する
ワクチン接種後は副反応が出ることが多く、とくに2回目の接種は顕著で症状も重めになることが多い傾向があります。
そのため、同じ部・課・グループの人が同じ日にワクチン接種を受けてしまうと、翌日や翌々日の業務に影響が出てしまう可能性があります。
同じ部・課・グループの人は、なるべく別の日にワクチン接種を受けるようにするなどして、業務に影響が出ないようにすることを心がけましょう。
5. ワクチン接種を強制しない
職域接種を行うからと言って、その企業に勤めているすべての従業員がそこでワクチン接種を受けなければならないというわけではありません。
家族と一緒に違う場所で受ける予定という人もいるでしょうし、職域接種で用いられるワクチンとは異なるワクチンを希望している人もいるでしょう。
場合によっては、ワクチンを接種したくないと考えている人もいるかもしれません。
そういった意思や希望はすべて尊重されるべきなので、職域接種でのワクチン接種を強制しないことが重要です。
職域接種では企業の入念な準備が欠かせない
職域接種を行う場合、企業は会場の運営・設営や医療スタッフを中心とした人員の手配など、さまざまなことを行わなければなりません。
準備は主に事務担当者などが中心となって行われることと思いますが、普段の業務内容とは関係のないことなので、勝手が違って苦労するケースも多いことでしょう。
株式会社アーネストでは、職域接種の運営や会場の手配などをサポートするサービスを手がけています。
これまでに多くの職域接種に携わってきた豊富な実績とノウハウを活かして、職域接種を効率的にサポートすることが可能です。
職域接種の実施を検討している企業担当者様は、ぜひ株式会社アーネストへのお声がけをご検討ください。